値上げも地獄、据え置きも地獄─飲食店を追い詰める「価格転嫁率32.3%」の現実
日本の飲食業界は、いま構造的な限界点に立たされている。
帝国データバンクの調査によれば、2025年の飲食店倒産は過去最多の900件。さらに注目すべきは、仕入れコストの上昇に対する価格転嫁率が32.3%と、全業種平均(39.4%)を大きく下回っている点だ。
原材料費、人件費、光熱費、物流費──
飲食店を取り巻くコストはすべて上昇しているにもかかわらず、その増加分の約3分の2を店舗側が吸収している計算になる。
なぜ飲食店は値上げできないのか
背景には、いくつかの要因が重なっている。
第一に、消費者の「値上げ疲れ」だ。
長引く物価高のなか、外食は真っ先に節約対象になりやすい。数十円〜数百円の値上げでも、来店頻度が下がることを経営者は肌で感じている。
第二に、地域相場と横並び意識。
近隣店が値上げしていない中で自店だけ価格を上げることへの恐怖は大きい。結果として「誰かが先に上げるのを待つ」状態に陥り、全体の価格転嫁が進まない。
第三に、価格改定の説明が難しい業態特性だ。
製造業のように原価構造を示しにくく、「なぜこの価格なのか」を消費者に伝える手段が限られている。
こうして飲食店は
「値上げすれば客離れ」「値上げしなければ倒産」
という二択を突き付けられている。
食料システム法がもたらす変化
こうした状況に一石を投じるのが、2026年4月に全面施行される「食料システム法」だ。
この法律では、コスト上昇を理由とした価格協議の申し出に対し、誠実に応じることが努力義務となる。
生産者や卸業者が法的根拠を持って価格交渉できるようになることで、飲食店側も
「仕入れ価格がこれだけ上がった」という説明を、より正当なものとして提示できる。
これは、これまで我慢で乗り切ってきた飲食店経営にとって、構造是正のチャンスでもある。
記事のまとめ▼
- 2025年の飲食店倒産は過去最多の900件
- 飲食店の価格転嫁率は32.3%と全業種平均を大きく下回る
- 値上げできない背景には、値上げ疲れ・地域相場・説明の難しさがある
- 多くの飲食店がコスト増を自腹で吸収し続けている
- 2026年施行の「食料システム法」は価格交渉の後押しになる可能性
- 今後は「値上げ」ではなく「納得感のある価格設計」が鍵
- 適正価格への転換が、飲食業界の持続性を左右する
参照:Yahoo!ニュース
Xの反応

値上げ=悪、みたいな空気が一番きつい

飲食店はもう「努力不足」で語れる段階ではないかもしれないな。
